学校で「多職種連携」はどうすれば機能するか

多職種連携記事

 教育、医療・福祉の業界で最近よく言われているのは「多職種連携」です。「多職種連携」とは、患者や対象者を取り巻く色々な業種の人たちが、対象者についての「問題点」や「強み」などを話し合い、対象者がよりよく生きるために連携をとることです。

 私は、当初、「多職種連携」などと聞こえはいいけど、責任を擦り付け合うものかと疑念を抱いていました。しかし、調べたり、実際の話し合いに参加したりするうちに、「多職種連携」がうまく稼働すれば大きな力になるのではないかと考えるようになりました。このページでは 「多職種連携」 とはどのようなものなのか、どういう問題があるのか、どうすればうまく機能するのかなどを考えていきたい思います。

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学校における「多職種連携」とはどういうものなのか。

 ここでは、主に学校における「多職種連携」について考えていきたいと思います。

 「多職種連携」とは文字通り、いろいろな職種の人材が連携するということですが、学校での児童生徒に関する対応は多岐にわたり、時には教師だけの力で解決策が見いだせないこともあります。そのような場合、教員以外の専門スタッフの協力を得ることで、問題解決にあたろうというものです。そして、それを学校と専門スタッフという線的な繋がりにとどめず、地域との連携体制という面的な繋がりを考えながら、教育活動を考えていくものです。

「多職種連携」のチーム体制は文部科学省から提案されていて、3つのステップによる構築が挙げられています。

[第1ステップ]
学校内で、教職員がそれぞれ専門性を活かして、学習指導や生徒指導の多様な教育活動を行う。

[第2ステップ]
教員以外の専門スタッフの参画。スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)などの配置・教員との連携・分担体制

[第3ステップ]
地域との連携体制の整備

学校における多職種連携の問題点

 では、学校における多職種連携の問題点にはどのようなものがあるのでしょうか。それぞれのステップにわけて考えていきたいと思います。

[第1ステップ]の問題点

 学校内で不登校や問題行動の対応にあたるのは生徒指導担当です。しかし、生徒指導の担当も学級担任であることが多く、自分のクラスを自習させて他クラスの生徒指導にあたることもしばしばあります。これでは、腰を据えて問題解決に向き合うことが難しいでしょう。

[第2ステップ]の問題点

 教員以外の専門スタッフは学校に常勤している訳ではありません。例え、学校で勤務する人がいたとしても、月に数度では、連携までは至らないでしょう。このように専門スタッフの関わる時間の短さが問題点のひとつとして挙げられます。

 もうひとつの問題は医師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士などの職種の方と連携をとるにもその調整が必要であることです。通常の業務で手一杯の教育現場で、連携が重要だと分かっていても、その調整の煩雑さから後回しにされることも多いのではないでしょうか。

[第3ステップ]の問題点

 第3ステップでは、学校・家庭・地域の連携を通して子どもを援助します。しかし、一口で家庭、地域といっても連携機関や専門スタッフでない一般にどこまで情報を公開し、どの程度の協力を要請するのかは非常に難しい問題です。

 連携とはいいながら形だけのものになったり、時には責任の所在をめぐって、それぞれが対立の関係になることもあります。

学校における多職種連携を実りあるものにするために

 [ステップ1]から[ステップ3]まで、それぞれ問題点はあるものの、本気で連携を図れば大きな力となると思います。実際に、コミュニティスクール(学校運営協議会制度)として現在稼働している地域もあります。文部科学省が提唱しているこの制度が、形骸化することなく、子どもたちのために連携・協働が行われることが望まれるところです。では、学校における多職種連携を実りあるものにするためには、どんなことに気を付ける必要があるのでしょうか。

多職種連携のポイント

多職種連携を実りのあるものにするポイントとして次の4点を挙げたいと思います。

1.早期に連携すること。

2.継続的に連携すること。

3.他の職種を理解すること。

4.専門用語をわかりやすい言葉に直して説明すること。

 私が学校に勤務する中で感じたことは、問題が大きくなってから連携が行われていることです。「1.早期に連携」して問題が小さいうちに色々な意見を出し合い、少しずつ方法を手直ししていくと成果が出やすいのではないでしょうか。

 「多職種連携」が最も大変なのは初めて連携しようとするときです。しかし、一度、システムが出来上がってしまえば、次からは比較的容易に連携が進むのではないでしょうか。そのために、折角行った連携を白紙にもどさないためにも、「2.継続的な連携」がとても効果的です。

 「多職種連携」でいろいろな分野から人が集まった時、それぞれの職種の立場を主張するという傾向がみられることがあります。しかし、大事なことは誰のための話し合いかということです。クライエント(対象者)のために連携をとるのですから互いに主張して譲らないなどというようなことにならないようにしたいものです。柔軟な考えを養って「 3.他の職種を理解する」ことが必要でしょう。
 これに関連して、会議ではリーダー(ファシリテーター)になる職種が固定されているのではなく、内容によってリーダーになる職種を変えていく必要もあると思います。

 実際の会議の場での留意点が、「 わかりやすい言葉に直して説明すること 」です。 その業界で共通する言葉で話す方が慣れていて簡単だと思いますが、他の領域の職種では通じないかもしれません。「多職種連携」を行う上で、伝わらないことは意味がありませんので、ぜひ専門用語を使わない発言を心掛けていただきたいと思います。

学校の限界を超えるために

 繰り返しになりますが、 学校での児童生徒に関する対応は多岐にわたり、教師だけの力で解決策が見いだせないことも多くあります。学校だけでそれらを解決することは無理でも、専門家のアドバイスがあれば解決が可能になるかもしれません。もし、多職種連携によって、その問題が解決できるなら、連携しないという選択肢はないと思います。  

 まだまだ開発途上の「多職種連携」ですが、取り入れているところも着実に増えています。「多職種連携」というワードは、これからの「特別支援教育」のために不可欠なものだと言えます。まずは、できる範囲での連携から始めてみるのはいかがでしょうか。「多職種連携」がこれまで解決できなかった学校の限界を超える足掛かりなるのではないでしょうか。

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