療育が必要ですと言われたら

療育が必要ですと言われたら記事

 みなさんは、「療育」と言う言葉を聞いたことがありますか。別名「発達支援」とも言います。ご存知の方の中には、療育を行っている施設の関係者の方もいらっしゃるかもしれませんね。また、今まさに療育に取り組んでおられる方や、お子さんに「療育」が必要だと告げられて不安で胸がいっぱいになっている方もいらっしゃるかもしれません。このページでは、療育について取り上げ、療育とはどのようなものか、どのように取り組んでいけばいいのかを考えてみたいと思います。

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療育とは何か

 厚生労働省が定める児童発達支援ガイドラインによると、「児童発達支援(療育)は、障害のある子どもに対し、知識技能の付与、集団生活への適応訓練その他の便宜を提供するものである。」と定義されています。つまり心身に障害をもつ子どもに対して、社会的に自立した生活を送れるように行う治療・教育のことです。

 ちなみに、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)の3障害のいずれかに該当する障害のある児童が療育の対象となります。

「療育」との出会い

 親御さんが「療育」と言う言葉をはじめて聞くのは、健診のときかもしれません。「少し発達に遅れがありますね。様子をみて、必要ならば、療育を受けてみましょうか。」と突然告げられることがあります。地域によって違いますが、私の住んでいる地域では、4か月健診が市ではじめて行われる健診のようです。たった生後4か月で、「遅れがあるかもしれない。」と告げられた保護者の方にすれば、不安で押しつぶされそうになる気持ちもよくわかります。

 しかし、たとえ障害があっても、適した療育を行えば、お子さんのよさを伸ばし、その後生き生きとした人生を送ることも充分できます。療育は、お子さんの苦手な部分を練習して伸ばしていくところだと思っていただいたらよいかと思います。もちろんその方法は、一つではありませんし、長期にわたる場合もあるでしょう。苦手な部分をひとまず置いておいて、得意分野を伸ばすことで、自分を肯定する気持ちを育て、苦手なことにも少しずつ挑戦しようという意欲を育てることを大切にしていくことも考えられます。そこは、私たち大人も同じです。だから、すぐに苦手な点が克服できるというより、生きていく力を育むことが療育と言えるのではないでしょうか。

 療育を提案されたとき、最も避けたいことは有効な支援を行わないことです。少し遅いだけで成長に伴い他の同年齢の子どもと同じようになるはずだと思う気持ちはよくわかりますし、実際にそうなることもあるかもしれません。しかし、そう考えることで、何も支援しない状態におかれるのは好ましくありません。そのことで最初からある障害が改善しないばかりか、それに伴いさらに別の障害が発生する二次障害と言われる状況になる可能性もあります。

療育が必要ですと言われたら

療育の流れ

ここで簡単に療育の流れについて説明しておきたいと思います。

療育の必要性の評価

 保健所や市区町村が実施する検診で、発育状況をみてもらい、知的障害や発達障害の疑いがある場合は療育相談のため再度検診を実施し、改めて療育の必要性が感じられる場合は専門の病院を受診して、療育が必要かどうかの評価が行われます。

受給者証発行

 療育施設を利用するためには、障害者手帳、もしくは受給者証を申請します。療育を受けるために必要なものです。自治体に申請を行い、いくつかの調査をして、発行されることになります。尚、「受給者証」がなくても療育は受けることができますが、その場合高額な費用がかかります。

療育の種類

 専門の病院の受診後、実際に利用する療育施設を検討します。市町村が運営する児童発達支援センター、民間企業が運営する児童発達支援事業所、児童生徒が利用する放課後等デイサービスなどがあります。保護者は、各事業所の特色をじっくりと見て、どの施設が子どもに合っているかを考えます。

 療育は大きく「通所型」と「入所型」に分けられます。

●「通所型」は、未就学の児童発達支援、放課後等デイサービスなどです。

●「入所型」は、障害児入所施設があります。

療育の内容

 未就学発達支援の「療育施設」では、例えば、発達のバランスを整えたり、コミュニケーションのトレーニングをしたりと個別や集団でその子どもに応じて療育が行われます。

 また、放課後等ディサービスは、6歳~18歳の発達に特性のある子どもが放課後や長期休暇などに利用できます。個別の発達支援や集団活動を行い、家と学校以外の居場所や友だちをつくることができます。

 療育は、年齢によって療育を受ける施設が違います。また子どもの特性によって、いつ必要になるか、どんなことを行うかなどが違うので、その時の子どもの年齢や特性などを考えて療育施設を決めることが大切です。

療育への向き合い方

 はじめて療育と向き合うことになった親御さんの不安は計り知れないものがあると思います。ただ療育施設では、本来の目的である社会的に自立することを目指して色々と取り組みが工夫されています。

 これらをうまく利用していくという気持ちで療育に向き合われるのはどうでしょう。最初にお話したように例え発達に遅れがあったとしても、それを療育によって取り戻すことができれば、遅れはなくなります。もし完全に障害をなくすことができないとしても、生活に支障がない状態に近づけることができれば大きく好転します。

 大切なことは、お子さんがたとえ特性を持っていても、苦手を克服するために努力したり工夫したり、また誰かに助けられたり誰かを助けたりしながら、人生を楽しく生きぬくことではないでしょうか。そして、それは障害があるなしに関係なく最も価値のあることといっても過言ではないと思っています。

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