記憶は感覚記憶、短期記憶、長期記憶の3段階
記憶は、感覚記憶、短期記憶、長期記憶に区分されています。感覚記憶は、目や耳、その他の感覚器官から入ってきた情報のごく短い時間の記憶のことで、通常意識されることはありません。この感覚記憶の内、注意を向けたものが短期記憶として数秒間保持されます。この短期記憶は、反復を行うことで、数分から数十年といった記憶保持の可能な長期記憶へと移行します。
感覚記憶から短期記憶へ、そして長期記憶に移行
例えば、街中にはいろいろなポスターが貼られています。通常、それらは目に入っていても、記憶されることはありません。しかし、自分の興味のあるコンサートのポスターは目に留まるでしょう。これは、感覚記憶の中から、自分の興味によって情報に注意を向けた結果です。ポスターに近づいて、日時と場所、チケットの発売日などを確認して、あなたは手帳を取り出しメモをします。ポスターの日時を見て(短期記憶)して、手帳に書き写します。ポスターから手帳までの視線移動の間、日時を記憶することができれば短期記憶の役目は終了です。
短期記憶は保持時間があまり長くないので、手帳が見つからず、鞄の中を探していると手帳が見つかった時にはもう日時を忘れていて、もう一度ポスターを確認する必要があるかもしれません。ただし、コンサートの日付が自分の誕生日と同じだったりすると、手帳を探している間に忘れることはないでしょう。誕生日というエピソードとコンサートの日付が結びついて長期記憶になるためです。
短期記憶がむずかしい集中することのできない子
このように記憶には3つの段階があります。短期記憶を長期記憶にするためには、繰り返したり、意味付けしたりと様々な方法がありますが、このページでは、短期記憶の方に焦点を当てて考えてみたいと思います。そもそも、長期記憶にするためには短期記憶が必要です。漢字や言葉、その他学習に必要な事柄を覚えるためには、まず短期記憶にならないとはじまりません。
では、短期記憶はどのようにしてできるのだったでしょうか。それは、情報の中から注意を向けることで、感覚記憶が短期記憶になるのでした。そうです。「注意を向ける」「意識する」といったことが重要になります。覚えるのが苦手な子は、何となくみていることが多く、細部まで集中して見るということができていないことがあります。そこで、対象に注意を向ける訓練が必要になります。そのためには、覚えたものを見ないで描いたり、覚えた言葉を後で思い出して書いたりするワーキングメモリーを鍛える課題を用意しました。
ワーキングメモリーを鍛える課題-図形を覚えて描こう
記号を見て覚えた後、それを見ないで描く課題です。ひとつのプリントに5問ずつありますが、一度にすつのではなく、1問ずつ行ってください。時間は子どもの実態に応じて長くしたり短くしたりしてください。
ワーキングメモリーを鍛える課題-言葉を覚えて書こう
ワード記憶トレーニングです。言葉だけでは難しい場合もあるので、イラストで印象付けを行っています。覚える方法としては、1分間ひたすら言葉を唱えて覚える、または、ストーリーにして覚えるや自分と関連付けて覚えることなどが挙げられます。空欄にメモをとりながら覚える方法をとっている子どももいました。「文字を書くこと」に課題がある子どもには、言わせてみてもいいでしょう。どの方法を選ぶかはその子の得意な方法を取ればいいと思います。
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