障害受容に必要なこと

障害受容に必要なこと 記事

 「障害受容」は、私が勤めていた時に最も悩む課題でした。職場では、小学校だったので、高学年になると本人の障害受容に直面することもありましたが、主に保護者の方のわが子に関する障害受容でした。このページでは、この障害受容について考えてみたいと思います。

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障害受容の過程

 障害受容の過程は、「ショック期」「否認期」「混乱期」「解決の努力期」「受容期」を経て克服していくと言われています。(障害受容(克服)-脳卒中患者のこころのうち-岡本五十雄氏)しかし当然個人によって違いますし、永遠に受容期にたどり着かないという説もあります。

 そこは無視できない問題ではありますが、あえてそれらの過程をたどると仮定して考えていきたいと思います。

障害が早期に分かった場合

 生まれてはじめて我が子が病気や障害であることを告げられた時、親御さんは、立ち上がれないほどのショックを受けます。それは、当然のことです。中には出生前診断で、既に障害のある事がわかっているケースもあります。苦しみは、想像を絶するものです。

 あるお母さんがおっしゃっていました。

 「絶望」「暗闇」という言葉しか思いつかない。

 しかし、障害を持ちながらも、目の前で成長していく我が子のために嘆いてばかりいられないと思い、何とかよりよく成長していく方法を見つけようとして、療育を始める方も多いと聞きます。このように、生まれてすぐや出生前で障害が分かった場合は、療育に早期に取り組める場合があります。療育は、早ければ早いほど効果的なのです。

障害が後に分かった場合

 ところが、生まれた時は、障害はなく、しばらくして障害が見つかったり、病気や怪我で、障害が残ったりした場合は、どうでしょうか。こちらは、受容するのが困難であるケースも多いです。「まだ少し遅れているだけだ。」「そのうちにきっと治る。」という思いは、当然のことかもしれません。

 結果、子どもに応じた手立てが遅れたり、子どもが早く発達するように叱咤激励したりということが起こりがちになります。そのことで、二次障害も生まれることも少なくはありません。決して叱咤激励が悪いわけではないのですが、必要なのは手立てです。

 もちろん、親御さんが悪いわけではありません。誰でも同じ境遇になったら、そうなります。そこで、親御さんの気持ちに寄り添いながら、親子が障害と向き合っていくことを手助けする人の存在が重要になってきます。

障害受容に必要な周囲の協力

 ショック期から受容期に至るまでには、周りの協力が必要です。人間は、生きていたら必ず困難なことが訪れます。その時に周りの人たちの支えがあり、なんとか乗り越えていけるのだと思います。

ソーシャルコンボイ

 下の図は、困難なことを抱えている人を中心にして同心円が描かれています。これをソーシャルコンボイと言います。誰か一人だけが支えていたら、その支えている人は重みに耐えられず倒れてしまうかもしれません。そこで、少しずつみんなで支えを分けるのです。そして、その支えた人が困難なことを抱えたら、今度は支えてもらった人が逆に支えていきます。

ソーシャルコンボイのイメージ

 教育界や医療・福祉の世界で、「協力」「連携」という言葉が飛び交っていますが、これも広い意味でソーシャルコンボイの一つだと思っています。

一人で抱え込まないで

 「一人で抱え込まないで」という言葉、それには、深い意味があるのです。どうぞ困っている人がいたら、手を差し伸べてください。そして、困難なことがあったら、周囲に頼ってください。

 それが、障害受容の大きな一歩なのですから。

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